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問合せ
【合作】( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです
第19世界 閉鎖◆PdFSeGF7kA
3
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:23:28.19
ID:XbRWSUoZ0
――少年を導く、一筋の光。
――それは自身の心を映し出す、異世界へと続く一本道。
――振り返る事は許されない。
――自分を笑顔で送り出してくれた人の為にも、消え去った世界の為にも。
――「ここが、新しい世界かお」
――導く光は、扉を描く。
――少年はそれを開き、新たなる世界へと足を踏み入れた。
5
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:24:27.32
ID:XbRWSUoZ0
( ^ω^) ブーンは世界を巡るようです
『 IN 閉鎖から一年経った俺達…… 』
6
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:26:28.12
ID:XbRWSUoZ0
灰色に染まった空。
灰色に染まった地。
灰色に染まった世界に、少年は着地した。
(主^ω^) 「……ここは?」
世界は、静寂に満ちている。
風は止み、水は凍り、人は石の様に動かなくなっている。
(主^ω^) 「時間が止まってるお……」
DATの力で、世界に影響を与えてしまったのだろう。
少年は嘆息し、欠片を取り出した。
その欠片は灰色の中に光を与え、少年を導いた。
(主^ω^) 「……こっちかお」
8
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:28:26.83
ID:XbRWSUoZ0
数分間少年は歩み続けた。
そしてDATの光が、一際輝く点で、止まった。
(主^ω^) 「ここかお……」
巨大なタワーが、そこに立っていた。
多くの人々は、そこから逃げるようにして固まっている。
(主^ω^) 「DATから逃げているのかお?」
闇の気配は、感じていない。
しかしDATを通じて少年に伝わるのは、大きな悲哀。
(主^ω^) 「誰かがDATを使った……」
(主^ω^) 「想いが……溢れ出した」
少年は静かに、タワーへ入っていった。
10
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:31:11.02
ID:XbRWSUoZ0
少年はタワーを登っていった。
石になってしまった人々は、そんな彼を虚ろ気に見据えている。
(主^ω^) 「もうすぐだお……」
歩み続け、少年は最上階へたどり着いた。
灰色に染まった大きな扉は、誰かの手によって開かれた後だった。
(主^ω^) 「この中に………」
少年は扉を潜り抜けた。
そこには、少年の心を圧倒する程の『想い』が広がっていた。
11
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:32:59.71
ID:XbRWSUoZ0
(主^ω^) 「なんて大きな想いなんだお……」
部屋全体に、青白い霧が立ち込めていた。
それは時の流れに縛られる事の無い、ただ一途な想いだった。
(主^ω^) 「誰が、こんな想いを……」
と、そこで少年は気付いた。
灰色の床に落ちている、ただ一筋に光る物体を。
(主^ω^) 「お、あったお」
少年はその物体に近づき、掴んだ。
それは少年の手の中で、青白い光を放っていた。
13
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:35:26.61
ID:XbRWSUoZ0
DATは、ライターの形になっていた。
だがその力は消滅し、今はただのライターになっている。
(主^ω^) 「誰が……このDATを……」
少年は、辺りを見回した。
そして、自らの隣で倒れる人影に気が付いた。
(主^ω^) 「この人かお……」
男の額は、銃で撃ち抜かれていた。
顔は血に塗れた痕があり、それによって男の顔は判断出来ない。
(主^ω^) 「どんな想いを……貴方は……」
少年はライターを見つめ、望んだ。
(主^ω^) 「少しだけ……」
ライターの青白い光が、少年を包んだ。
16
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:37:38.73
ID:XbRWSUoZ0
※
また奴等が来た。
本当に懲りない連中だ。
だけど、これ以上は、私も堪えられないかも知れない。
19
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:39:40.17
ID:XbRWSUoZ0
( ■■) 「アンタの嫁さんが溜め込んだ借金や。
これ以上払わへんのやったら、今度はアンタの娘さんの所へ―――――」
爪'ー`)y‐ 「待ってくれ!! 娘には関係無い!!」
私は土下座し、借金取りはニヤリと笑う。
分かっているのだ。奴は、私が娘を引き合いに出されると、冷静さを失うのを。
( ■■) 「そやったら、明日までに100万。まずは用意して下さい」
爪'ー`)y‐ 「………しかし…」
( ■■) 「無理やったらええんです。娘さんに会いに行きますから」
借金取りは煙草を咥えた。
( ■■) 「恨むんやったら、嫁さんを恨んでください」
男はそう言い残し、去って言った。
私はそれをぼんやりと見つめるばかりだった。
20
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:42:06.96
ID:XbRWSUoZ0
悪い嫁だった。
湯水の如く金を使い、足りなくなっては借金をした。
私の名前を肩書きを利用し、ついにはヤミ金にまで手を染めた。
爪'ー`)y‐ 「…………」
彼女は二年前、自殺した。
遺言書には、「自分勝手をお許し下さい」と書かれてあった。
私は呆れたように笑うばかりだった。
お前のせいで、私の人生は滅茶苦茶だと。
お前のせいで、私の人生は崩壊してしまったと。
一流商社に勤め、一生懸命に働いた。
それも崩れ去り、今ではあくどい方法で金をかき集めるばかりとなってしまった。
爪'ー`)y‐ 「……もう、私は限界かも知れないな……」
22
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:44:44.87
ID:XbRWSUoZ0
娘には、そんな事を言えなかった。
妻が死んだ時の遺言状も、彼女には見せていない。
娘はもう、自立した生活を送っている。
そんな彼女に、こんな重みを背負わせて良い筈は無い。
私にも罪があるとしよう。
あのような悪妻と結婚してしまった、私に落ち度があったとしよう。
しかし
爪'ー`)y‐ 「大丈夫だ。
お父さんが守ってやるからな、ツン」
娘に、罪は無いのだから。
彼女だけは、守り抜かなければならない。
※
24
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:47:42.26
ID:XbRWSUoZ0
※
私は襤褸雑巾の様に、横たわっていた。
全身痣だらけになりながら、惨めに、風に晒されていた。
( ) 「塩沢俊平さん、ですね」
爪'ー`)y‐ 「誰だ……。新しい暴力団か……?」
不意に、声が響いた。
目が腫れ上がり、男の顔までは見て取れなかった。
( ) 「いえいえ、私はこういう者です」
男は名刺を差し出した。
私は痛む手でそれを受け取ったが、目に入れる事は無かった。
爪'ー`)y‐ 「私に……何のようだ……」
( ) 「貴方の名前を使わせて欲しいのですよ。「塩沢」と言う名前を」
爪'ー`)y‐ 「………「塩沢」……か」
26
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:50:41.46
ID:XbRWSUoZ0
数年前までは、自分だけの物だった。
だが妻ができ、娘ができ、その名を共有する物は増えていった。
それも、今となっては惨めな事だが。
爪'ー`)y‐ 「私の名前など使って……何がしたい……」
その言葉を待っていただろう。
男が満足そうに唸るのが、聞えた。
( ) 「必要なんですよ、貴方の名前が」
爪'ー`)y‐ 「…………」
( ) 「『2ちゃんねる』を釣ろうとし、そして住所を晒された、愚かな男の名前が」
27
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:54:03.07
ID:XbRWSUoZ0
爪'ー`)y‐ 「何が……言いたいんだ……」
( ) 「取引をしませんか?」
男は事務的な口調に変わった。
そして、どこからか紙を取り出す音が聞えた。
( ) 「貴方の名前で、ひろゆきを訴えます」
( ) 「それでもし、2ちゃんねるを閉鎖に追い込む事が出来れば……」
男は私の耳元に近づいた。
そして、囁いた。
( ) 「あなたの人生を、変えましょう」
私の胸が、ドクンと鼓動した。
※
28
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:56:57.51
ID:XbRWSUoZ0
※
風が、気持ち良い。
私の人生は、確かに変わった。
爪'ー`)y‐ 「……ツンか?」
しかし、それが正しかったとは、もはや言うまい。
私一人のエゴで、多くの人間の『家』を奪ってしまった事は、認めよう。
ξ゚听)ξ 『お父さん? どうしたの、こんな夜に』
爪'ー`)y‐ 「……お父さんな。悪い2ちゃんねらーに追われてるんだ」
ξ゚听)ξ 『えっ?』
爪'ー`)y‐ 「明日の夜。一茂河川敷に来てくれないか」
私自身も、妻と同じく、自分勝手だったのかもしれない。
私達大人は、子供達に誇れる世界さえ、与えてやれなかったのかも知れない。
31
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 21:59:26.61
ID:XbRWSUoZ0
だから願おう。
私達に出来なかった事を、子供達に託そう。
私達が作れなかった「未来」を、子供達に託そう。
33
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:05:27.37
ID:XbRWSUoZ0
(主^ω^) 「……塩沢……さん」
部屋を取り巻いていた青白い霧。
それは、塩沢の唯一の心残りなのだろう。
子供達に託した未来を、見届けられなかった。
その思いが引き金となり、世界の時は止まってしまったのだろう。
(主^ω^) 「あなたの想いは……きっと伝わっていると思いますお」
この世界のDATは、世界に適合しすぎた。
それは何時の様に、「DATを知らずしても願いが叶ってしまう」状況を生み出したのだろう。
(主^ω^) 「だから、安心して良いと思いますお」
自分のDATを掲げ、祈る。
この無念を浄化し、心置きなく逝けるように。
37
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:09:01.23
ID:XbRWSUoZ0
光は灰色の世界に色を付けていく。
止まっていた時は動き出し、静まっていた炎は揺らめき出した。
(主^ω^) 「これ以上は……」
少年はDATを掲げ、光に包まれる。
炎はそれを包み込み、彼の視界を遮った。
(主^ω^) 「塩沢さん。あなたの願いを叶えられたかは、分かりませんお」
だけど、と心の中で続ける。
(主^ω^) 「あなたの想いは、きっと届いていると思いますお」
少年は光へと分解され、空へと登っていく。
ふと眼下を見れば、炎の中を走り抜けていく影が見て取れた。
(主^ω^) 「若者達に、未来を」
きっと、貴方の想いは伝わっている。
そう心で繰り返しながら、僕はこの世界を後にした。
38
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:11:19.58
ID:XbRWSUoZ0
――少年を導く、一筋の光。
――それは自身の心を映し出す、異世界へと続く一本道。
――振り返る事は許されない。
――自分を笑顔で送り出してくれた人の為にも、消え去った世界の為にも。
41
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:13:24.21
ID:XbRWSUoZ0
――「この道は、どこに続いてるんだお?」
――旅はまだ、続いている。
FIN
46
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:15:07.84
ID:XbRWSUoZ0
('A`) 「明日は蕎麦屋さんが書く名作。
『( ^ω^) ブーンの妄想が現実になったようです』の投下だ」
(-_-) 「その身に特異な能力を宿した『ホルダー』と呼ばれる存在……」
(´・ω・`) 「彼等は戦いの果てに、何を見るのだろうか」
( ゚∀゚) 「個別投下も最終回!!
蕎麦屋さんの投下が、主軸の巡る最後の世界って訳だ!!」
('A`) 「『ホルダー』達の戦いの中、主軸はどう動くのか」
(-_-) 「そして主軸は、無事にDATを入手できるのか」
( ゚∀゚) 「全ての答えは、明日、明かされる!!」
48
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:16:50.10
ID:XbRWSUoZ0
( ^ω^) ブーンが世界を巡るようです
『 IN ( ^ω^) ブーンの妄想が現実になったようです 』
乞 う ご 期 待 ! !
52
2軍選手(関西地方)
2007/03/29(木) 22:18:54.68
ID:XbRWSUoZ0
何とか投下終了。
裏を言えば、これを書いたのは二時間前だという罠。
では蕎麦屋さんにバトンを渡し、自分は消えるとしましょう。
一時間に渡り、ありがとうございました。
>>31
の次。
某スレに誤爆してしまったので\(^o^)/
子供達に、未来を。
※
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