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【合作】( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです

第4世界  ペン◆NscXkUt6VE

552 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:28:15.62 ID:nmJd2yvf0

「はい。どうぞ」

先生から、答案をもらう。

大丈夫、あれだけやったんだ。

ぶっちぎりの一位に違いない。

さあ

現実を受け入れよう。



     【VIP塾中学生統一模試】


      塾内順位   2 位


562 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:30:28.99 ID:nmJd2yvf0



        ( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです



       【 IN ('A`)ドクオのペンは進まないようです編】






566 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:32:31.84 ID:nmJd2yvf0
「いくぜ、デュクシ!デュクシ!」
「はいバリアー!今の無効〜」
「オレ、モンハンやりたいから帰っていい?」


('A`)「…」

夕方の公園。

子供達の楽しそうな声が辺りに響いている。

('A`)「…はぁ」

模試の結果をもう一度、見る。

2位。

('A`)「あーあ…なんでだよ」

勉強時間なら、誰にも負けてない自信があった。

点数だって、5教科9割を越えた。

…けど、頂点には一人、天才がいる。


569 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:34:10.91 ID:nmJd2yvf0

      ( ´∀`)「勉強? 別にそんなにやってないモナ」


塾内順位1位、モナー。

全国でも上位に食い込む、『天才』

('A`)「くそっ…天才は努力が99%で出来ているってのは嘘かよ…」

悔しい。

届きそうで届かない僅差。

次の模試が、中学最後の模試だ。

モナーと決着を付ける、最後のチャンス

('A`)「絶対…越える! 努力が才能を超えるってことを証明してやる…!」


581 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:43:05.20 ID:nmJd2yvf0
「じゃあなー! 明日アレ持って来いよー!」
「ああ、アレなー!アレ!」
「アレってなんだよwwwwバーローwww」

夕日が公園を照らす。

5時半、か。               (((主^ω^)

そろそろ帰ろう。

('A`)「……よし、帰って勉強だ」

一人反省会を終えて、重い腰を上げる。

バッグを持ち上げ、歩き出す。

('A`)「……なんか、バッグが重く感じるな」

腕がだるい。

最近、筋トレしてないから、鈍ったのかもしれない。

帰ったら、勉強前に腕立てでもするか。


587 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:45:06.42 ID:nmJd2yvf0


('A`)「ふん! ふん! ふん!」

腕立ての極意は、鍛える部分に意識を集中することだ。

これによって、より効率的に筋力アップが出来る。

('A`)「じゅ〜…っぎお!」

腕がプルプル震えて、そのままうつ伏せに倒れこむ。

('A`)「はぁ…はぁ…15回もできたぞ。新記録だ」


592 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:48:37.85 ID:nmJd2yvf0

鏡の前でポーズを取り、鍛えられた自分の体を憧れのキャラと被らせる。

('A`)「うーん、まだまだだな。腹筋も割らなきゃ…」

そんなことを考えつつ、額に指を当てて力を溜めてみたり

クールキャラを真似して、腕を組んだまま斜め上から見下ろしてみる。

('A`)「俺がこの指輪の適合者だ…ククク」

(主;^ω^)「…」

('A`)「はぁ−−アクセス」

(主;^ω^)「……」

('A`)「く…腕の傷が…! 収まれ…!」



(主;^ω^)「………あのぉ」


599 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:51:02.98 ID:nmJd2yvf0

('A`)「僕は君の、道しるべになりたい」

(主;^ω^)「………あのぉ」

('A`)「なんだよ、さっきからうるさいな」

ん?

待て待て待て。

第三者の声→男の声→この方程式から導かれる者は…

('A`)「と、父ちゃん! ごめん、今から勉強始めようと思ってた所…」

(主;^ω^)「…どうもですお」

目の前にいる生物。

どう見ても猫です。本当に(ry


602 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:53:11.99 ID:nmJd2yvf0

('A`)「なーんだ。猫かぁ」

(主^ω^)「この世界ではそういうことになってるみたいだお」

('A`)「ふーん、そうなんだ」

なんだ、猫か。

まったく人騒がせな・・・焦っちまったぜ。

('A`)「さて、勉強勉強」

机に座り、ペンを握る。

ふと、気がついた。

…俺、猫と話してた?


607 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:55:14.63 ID:nmJd2yvf0

('A`)「・・・」

猫のほうへ顔を向ける。

360度、どう見ても猫だ。

(主^ω^)「訳あって、今はこんな姿なんだお。実は…」

呆然としている俺を無視して、淡々と話を進める猫。

なんだ、これ。

とうとう俺はファンタジー世界の住人になっちまったのだろうか?

いや、いくらなんでもそこまで自分を追い詰めた覚えは無い。

じゃあ、これは・・・現実?



      ヽ ('A`)/  「えええ−!?」 
      \(.\ ノ   ズコー



612 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:57:15.66 ID:nmJd2yvf0


(主^ω^)「と、いう訳でDATに心当たりがあるなら教えて欲しいにゃん!」

('A`)「・・・」

猫の話によると、事のあらすじはこうだ。

猫の住む世界・・・主軸世界を構成する『DAT』が悪者によって盗まれてしまった。

猫は、主軸世界を救うために、あらゆる世界に散らばったDATを探している。

('A`)「そ、それなんてエロg――」

(主^ω^)「信じられないかもしれないけど、真実なんだお。協力してくれないかお?」

('A`)「あ、あはは…」

思わず笑いがこみ上げる。

DAT? 主軸世界? 世界を護る?

('A`)「おいおい、ファンタジーにもほどがあるぜ。それを信じろって?」

(主^ω^)「信じられないかもしれないけどお・・・本当なんだお」


617 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 19:59:23.30 ID:nmJd2yvf0

('A`)「そうか、これは夢なんだ!」

(主^ω^)「お?」

何かのRPGのストーリーが、深層意識として夢にでたのかもしれない。

('A`)「そっか、夢だったのか。それなら猫が喋ってるのも納得がいくわ」

(主^ω^)「夢じゃないお。ためしてみるかお?」

爪を光らせて迫る猫。

大丈夫、夢だから痛みなんてあるはずが無い。


・・・・・・


・・・


「ギャァァァッァァ!」

(`・ω・´) 「な、なんだ!?」


622 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:02:05.16 ID:nmJd2yvf0

部屋の扉が勢い良く開けられる。

(`・ω・´)「ドクオ! どうした!?」

(メ'A`)「あ、トーチャン・・・」

(`・ω・´)「何があった!? 泥棒か!? 強盗か!?」

(メ'A`)「いや、その・・・」

(`・ω・´)「ん?」

トーチャンが足元を見る。

そこには、俺を引っかいた張本に・・・猫。

(主^ω^)「お邪魔してますお」


629 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:06:06.99 ID:nmJd2yvf0

(`・ω・´)「な、ななななな…」

(主^ω^)「勝手にお邪魔しちゃってごめんなさいだお」

猫が前足をひょい、と上げる。

トーチャンの体がさらに震え、そして――――




(`・ω・´)「な〜んて可愛い猫ちゃんだろ! ヨチヨチ、こっちにおいで〜」


言い忘れていたが、トーチャンは他に類を見ないほどの猫好きである。


637 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:08:15.92 ID:nmJd2yvf0

(;'A`)「ええ!?」

トーチャンは猫を抱きかかえると、優しく猫の背を撫でた。

(`・ω・´)「ん〜可愛いでちゅね〜。ゴロゴロ〜」

(主*^ω^)「くすぐったいお」

(;'A`)「…」

何かおかしい。

違和感、そう、違和感だ。

猫が喋ってるの見て、あまりのショックにトーチャンも気がふれてしまったのだろうか?


641 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:10:29.81 ID:nmJd2yvf0

呆然としている俺を他所に、トーチャンは喋る猫と戯れる。

(`・ω・´)「それにしてもよく鳴く子でちゅね〜。お腹すいてるんでちゅか?」

(主*^ω^)「お? そういえば少しお腹すきましたお」

(`・ω・´)「ん〜、ちょっと待っててね〜。キャットフードを用意してあげるから♪
      …ドクオ、お前も手伝いなさい」

('A`)「は、はぁ」

釈然としないまま、猫を抱いたトーチャンの後を追って台所へ行く。

一体、何がどうなってるんだ?

俺の頭の中はハテナマークで一杯だった。


645 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:12:11.44 ID:nmJd2yvf0



(`・ω・´)「で、この猫はどうしたんだ? ドクオ」

('A`)「えっと、気がついたら家についてきてたっていうか…」

(`・ω・´)「なるほどな。野良猫か」

('A`)(まぁそこらへんの野良猫とは違うけど…)

真剣な顔で、缶詰の蓋を開けているトーチャン。

シュールすぎて、笑いがこみ上げてくる。が、ここで笑うのは馬鹿かマゾかのどっちかだ。

(主^ω^)「いやー、キャットフードを食べるのは初めてだお」

(`・ω・´)「ん、もうすぐだから、もうちょっと待っててね〜。
      …よほどお腹が好いてるんだな。さっきからよく鳴いている」


649 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:14:17.83 ID:nmJd2yvf0

('A`)「トーチャン…もしかして、猫の言葉が聞こえてないの!?」

咄嗟に疑問をぶつける。

すると、トーチャンは笑いながら

(`・ω・´)「ははは。面白いことをいうな。猫の言葉がわかったら、それは楽しいことだろう」

(主^ω^)「お? 聞こえてるように見えたけど…聞こえてなかったのかお?」

('A`)「…え?」

さっきまでの、トーチャンの行動を思い浮かべる。

…猫の声は聞こえていなかった?

じゃあ、コイツの声が聞こえてるのは、俺だけ?

(`・ω・´)「ほーら、たんとお食べ〜」

(主^ω^)「ハムッ!ハフハフ!ハムッ!」


653 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:16:14.04 ID:nmJd2yvf0


(`・ω・´)「その猫は、お前が拾ってきたんだ。責任もって面倒を見なさい」

('A`)「…」

拾ってきた訳じゃないんだけどね。

というか、責任とかじゃなくて、どう見てもトーチャンが飼いたいだけです。本当に(ry

(`・ω・´)「それじゃ、しっかり勉強するように。またね、カレーちゃん♪」

(主^ω^)「お? 僕のことかお?」

トーチャンが猫の頭を撫でる。

('A`)「トーチャン、カレーって、この猫の名前?」

(`・ω・´)「そうだ」

('A`)「なんでカレー?」

(`・ω・´)「昨日、カレー食べたからだ」

('A`)「…」

(`・ω・´)「勉強しろ」

そう言うと、トーチャンは部屋を出て行った。


657 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:18:26.78 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「あの人、いい人だおw」

('A`)「…」

さて、この喋る猫…カレーと二人きりになった訳だが。

('A`)「とりあえず、夢じゃないのはわかった」

(主^ω^)「お? ドクオ、信じてくれるのかお!」

(;'A`)「な、なんで名前知ってんだよ!?」

(主^ω^)「さっき、お父さんが君の事ドクオって読んでたからだお」

(;'A`)「…猫のくせに鋭いな」


660 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:21:29.79 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「僕は元々猫じゃ無いお。ただ、『この世界』では猫のようだお」

わかるような、わからないような…

とにかく、このカレー(トーチャン命名)の話をもう一度、kwsk聞いてみることにしよう。

('A`)「なあ、最初に話してたDATやら自分の世界やらの話…もう一度聞かせてくれないか?」

(主^ω^)「OKだってのクラッカーだお!」

カレーは、自分がこの世界に来た理由、目的、そして協力して欲しい旨を俺に伝えてきた。



662 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:23:28.62 ID:nmJd2yvf0

−−…


('A`)「その、DATってモンは見ればわかるんだな?」

(主^ω^)「そうだお。この世界には異質のものだから雰囲気でわかるお。
      ただ、形状がどうなってるか、どこにあるかはわからないお」

('A`)「なるほど、例えば――


  ウィーッス  ∧_∧∩  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       (´∀`*// < DAT拾ってきたぞー
    ⊂二     /    \_____________
     |  )  /
     ●/    ̄)
      ( <⌒<.<
      >/

('A`)「と、いうこともありえるのか?」

(主;^ω^)「ま、まあそういう事に成ってないとは言えないお」


665 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:27:08.01 ID:nmJd2yvf0

('A`)「つっても、何処にあるのか検討すらつかないし…」

(主^ω^)「とりあえず、見つかるまでドクオと一緒に行動させて欲しいお」

(;'A`)「ええ? お前猫じゃん。それに俺、明日塾あるし模試も近いし」

(主^ω^)「そこは、ほら。隠すなりしてごまかして欲しいお」

ぶっちゃけ、面倒だ。

受験も近いし、バッグに猫隠してるのがばれたら俺のイメージ台無しじゃないか。

せっかく、塾内ではクールで頭のいい天才を気取っているというのに…。

('A`)「一人で探せばいいじゃん。俺だって暇じゃないんだけど」

(主^ω^)「僕、この世界のことはよくわからないんだお…」

カレーは急にしゅん、とした顔になる。


669 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:29:20.81 ID:nmJd2yvf0

(主´ω`)「身勝手な頼みですまないお…でも、僕がやらないと僕の世界が滅びちゃうんだお。
      どうしても駄目かお?」

世界が滅びるなんて嘘だろ?

――なんて、喋る猫の前で突っ込んでも説得力が無いよな。

時間掛かりそうだし、こちらとしては何の見返りも無い。

('A`)「…はぁ」

じゃあ断るかって?

('A`)「ま、少しぐらいなら協力してあげてもいいけど?」

好奇心。

それは、まだ俺の中に存在する、少年の冒険心かもしれない。

『こいつの助けになりたい』っていうのも少しだけ。

(主^ω^)「…ッ! 本当かお!? ありがとうだお!!」

カレーが笑顔を俺に向ける。

('A`)「ま、そのDATが見つかるかどうかわからんけど、協力してやるよ」

――ハッ、俺はいい人である自分に酔ってるのかもな


672 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:31:19.05 ID:nmJd2yvf0


「ここの方程式はこうか?」
「は、違うだろ。こっちのが簡単に解けるだろ」
「あ、そっか。じゃあここは…」


(主^ω^)「これが、ジュクかお? なんだか殺気だってるお」

('A`)「最後の模擬試験が近いからな。俺も勉強しないと…」

ふと、塾の掲示板を見る。

『頑張れ受験生!』

『最後の模試、塾内1位の方には豪華なプレゼントが!』

('A`)「プレゼント?」

そこには、何の変哲も無いペンが映っていた。

塾のオリジナルデザインだろうか。

何故か…不自然、というか妙な印象を受ける。


677 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:33:11.33 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「ドクオ、何見て…」

カレーがバッグから顔を覗かせた。

そして、その目が輝きだす。

(主^ω^)「ど、ドクオ! ここに映ってるの、DATだお!」

(;'A`)「なんだって!?」

もう一度、掲示板を見る。

('A`)「そう言われれば…」

理屈じゃない。感覚的に…それがこの世界に不自然、ということがわかる。

('A`)「こんなに早く見つかるなんて…」


682 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:35:13.07 ID:nmJd2yvf0


「なーに一人でぶつぶつ言ってるの」


('A`)「うおっ!」

突然、背後から肩を叩かれた。

ミセ*゚ー゚)リ「おっす。元気してる?」

('A`)「ミセリ…い、いつからそこに?」

ミセ*゚ー゚)リ「さっきからずっとー。 ドクオこそ何を見て…お、模擬試験のお知らせかぁ」

ミセリは、俺の肩に手をおいたまま後ろの掲示板を見る。

俺の体との距離が限りなくゼロに近くなる。

('A`)「ば、バカ! そんな引っ付くな!」

ミセ*゚ー゚)リ「あれれ? もしかして、照れてるぅ?」


687 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:37:06.72 ID:nmJd2yvf0

('A`)「ち、ちげーよ! 暑苦しいだけだっての!」

ミセ*゚ー゚)リ「顔真っ赤だよwあはは、タコみたいw」

('A`)「タコって…」

ミセリは俺の顔を見て、笑う。

やばい、この笑顔はやっぱ可愛い…。

って、いかん。俺よ、落ち着け。

ミセ*゚ー゚)リ「ま、ドクオも最後の模試、頑張りなよ! また2位だったら罰ゲームね!」

(;'A`)「な、そりゃねーよ…。まあ、それなりに頑張るけど」

と、塾の予鈴が鳴った。

廊下にいた生徒達はザワザワとそれぞれの教室へ移動を始める。

ミセ*゚ー゚)リ「それじゃ、ボクは社会の授業だから。またね♪」


692 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:39:04.58 ID:nmJd2yvf0

(*'A`)「…ふう」

ミセリの後姿を見送る。

学校は違うが、塾の講座で席が近かったりで自然と仲良くなった子だ。

(主*^ω^)「ふひひwドクオ。可愛い彼女持ってるじゃないかお」

('A`)「ゲッ! 忘れてた…」

カレーが、バッグからこっそり顔を出す。

(主*^ω^)「で、どこまで手を出したんだお?Aかお?Bかお? おじさんに言ってごらんお」

(;'A`)「ば、バカじゃねーの!? 猫の癖に何言ってやがる! それに、ミセリはまだ恋人じゃ…」

(主*^ω^)「まだ、なのかお。ふーん…」

やられた。

こいつ、実は結構頭いいんじゃないだろうか?

('A`)「猫にカマかけられるなんて…欝だ」


698 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:41:02.61 ID:nmJd2yvf0


(’e’)「授業を始めるぞー」

理科の名教師、セントジョーンズ先生の授業を受ける。

この先生の授業は、とてもわかりやすいと塾内でも評判だ。

(’e’)「ここは、ハ〜〜〜ロ〜〜〜〜ゲンッ!! 覚えとけー。大学入試ででるぞー」

('A`)「ハロゲン、と」

さすが名講師。

高校入試のレベルを超えている。


701 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:43:03.34 ID:nmJd2yvf0

キーンコーンカーンコーン…

(’e’)「はい、今日はここまで」

その一言と共に教室が塾生達の声で溢れた。

('A`)「さてと…」

俺はバッグにテキストを押し込む。


(主;^ω^)「痛い! 痛いお!」

(;'A`)「あ、ごめん。忘れてた」

バッグの中からカレーが顔を覗かせる。


705 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:45:06.29 ID:nmJd2yvf0

(主#^ω^)「気をつけてほしいお。それより、あのDATはどうやったら手に入るんだお?」

('A`)「DAT・・・あのペンか」

模擬試験の校内1位に送られる記念品がDATだ。

…たいした物じゃないし、もしかしたらお願いすれば貰えるかもしれない。

('A`)「よし、ちょっと待ってろ」

(主^ω^)「おっお!」


707 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:47:08.62 ID:nmJd2yvf0

……



('A`)「ダメだって」

(主^ω^)「そうかお…」

('A`)「あのペンが欲しいなら模試で1位になれってさ」

(主^ω^)「じゃあ僕もその模試を受けるお! そして1位になってDATを回収するお!」

カレーはバッグの中で暴れる。

('A`)「おまwwバッグ壊すなww  それに、お前猫じゃん」

(主^ω^)「猫は模試を受けられないのかお?」

('A`)「うん」

(主´ω`)「そうかお…」

カレーはがっくりとうな垂れる。


709 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:49:03.02 ID:nmJd2yvf0

('A`)「必死、なんだな…」

ポツリ、と呟く。

自然と口から出た言葉。

(主^ω^)「僕は、自分のいた世界が大好きだったんだお」

カレーは、その小さな瞳をこちらへ向けた。

(主^ω^)「暖かくて、みんな優しくて…けど、今は無いんだお」

('A`)「お前…」

(主^ω^)「でも、絶対取り返すんだお! 僕にしかできないんだお!」

('A`)「――ッ」


712 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:51:02.65 ID:nmJd2yvf0

こいつ…すごい。

本気でそう思った。

俺だったら、他人の為にこんなに必死になれるか?

今やってる勉強だって、結局は自分のため。

他人に対して無償でやっているわけじゃない。

('A`)「お前、強いんだな」

(主^ω^)「お?」

('A`)「決めた!」

俺は、こいつの助けになりたい。

好奇心や遊び心じゃなく、本気で、ただ助けになりたい。

('A`)「俺が模試で1位になって、DATを回収してやる」


719 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:53:08.12 ID:nmJd2yvf0

(主;ω;)「ドクオ・・・うわぁぁん! ありがとうだにゃお!」

カレーがバッグから飛び出し、俺に抱きつく。

('A`)「ちょwwwばか、出てくるなwww」

(主;^ω^)「あ、アイムソーリーヒゲソーリーだお!」

俺が小声で囁くと、カレーはすぐにバッグに戻った。

(;'A`)(誰にも見られて…ないよな?)

辺りを見回し、誰もいないことを確認した。

('A`)「んじゃ、家に帰って早速、勉強するか!」

(主^ω^)「おっお! 僕もできるだけお手伝いするお!」

('A`)「お、おう。頼もしいぜ」

俺はそう言うと、帰路に着いた。


722 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:55:02.64 ID:nmJd2yvf0


('A`)「えーっと、ここがこうなって…」

家に帰ると、俺はペンを進め始めた。

とりあえず、今日は基礎固めをしっかりやる。

焦って応用に手を出すのは素人のやる事だ。

('A`)「この計算は…」

カリカリ

(((主^ω^)「…」

('A`)「間違えた、じゃあここは…」

カリカリ

(主^ω^)))「…」

('A`)「……」

カリカリ

((((((主^ω^))))))


725 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:57:01.83 ID:nmJd2yvf0

('A`)「あの、カレー?」

(主^ω^)「おっお! 何か手伝える事があるかお!?」

声をかけると、物凄いスピードで足元まで走ってきた。

('A`)「トーチャンがもうすぐ帰ってくるから、相手をしてあげてくれないか?」

(主^ω^)「お?」

('A`)「ほら、俺は勉強してるからトーチャンも寂しいと思うんだ。…頼めるかな?」

(主^ω^)「まかせるお! 僕は僕なりにできる事をやるお!」

そう言うと、カレーは凄いスピードで階段を降りて行った。

('A`)「あ…」

いっちゃった。

なんか、追い出したみたいで罪悪感。


729 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 20:59:05.69 ID:nmJd2yvf0

('A`)(勉強って一人でするものだしな…)

気を取り直し、俺は再びペンを動かし始める。

しだいに集中力が高まり、周りの音が聞こえなくなる。

玄関のドアが開いた音も、当然、俺の耳には入ってこなかった。



―――――


(主^ω^)「おかえりなさいだおー!!」

(`・ω・´)「か、カレーちゃぁぁぁぁん!!待っててくれたのぉぉ!!」

(主;^ω^)(ヒゲが、ヒゲが痛いにゃおぉぉ…!)


733 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:01:06.25 ID:nmJd2yvf0


('A`)「…ふう、やっと基礎がオワタ」

ペンを置き、大きく息を吸いながら体を伸ばす。

ふと、時計を見ると11時30分を指していた。

('A`)「4時間か…さすがに疲れたぜ」

机を離れ、ベットに倒れこむ。

毛布のやわらかい感触が眠気を誘う。

('A`)「ねむ…」


まぶたが少しづつ重くなり、目を閉じる。

…瞬間、頬を撫でられる感触。

(主^ω^)「ドクオー、大丈夫かお?」

('A`)「ん、ああカレーか…」

俺は体を起こし、ベットの上に座る。

カレーもその隣にちょこんと座った。


738 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:03:02.06 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「お父さんといっぱい遊んできたお! ドクオのお父さん面白い人だおww」

('A`)「悪いな。トーチャンの世話、頼んじゃって」

(主^ω^)「全然おkだお! ドクオは僕のために頑張ってくれてるんだお。
      僕もドクオの為に何かしなくちゃだめなんだお!」

('A`)「…そっか」

カレーは満面の笑みを顔に浮かべる。

そして、俺の膝の上に乗ってきた。

('A`)「お前、ほんとに猫みたいだな。・・・いや猫だけど」

(主^ω^)「お? うーん、体が勝手に動いちゃうんだお。本能だおw」

カレーのふさふさした毛ざわりが気持ちいい。

軽く撫でてみた。


742 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:05:05.94 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「にゃ、にゃお…」

('A`)「気持ちいい?」

(主^ω^)「う、うんだお」

('A`)「へえ…じゃあこうしたらどうかな?」

(主//ω//)「にゃ、にゃんお…くすぐったぁいお…」

ハァハァ…

ハァハァ……






「ふぎゃお――――!!!!!!」


(`・ω・´)「な、なんだ!?」


749 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:07:02.59 ID:nmJd2yvf0

(主#^ω^)「やりすぎだお」

(メ'A`)「ご、ごめんなさい」

つい肉球に手が出てしまった。

でも、やっぱ見た目通り柔らかかったなぁ…

(メ'A`)「フヒヒww」

(主#^ω^)「さすがの僕も引くお。せめて人間に発情しろお!」

カレーはそっぽを向きながら言った。

('A`)「すまんすまん。無意識のうちに手が出てしまった」

(主#^ω^)「以後、こんなこと起こさないでほしいお! 僕はもう寝るお!」

カレーは毛を逆立てたままドアへ向かう。


751 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:09:06.54 ID:nmJd2yvf0

('A`)「お、おい。どこ行くんだ?」

(主#^ω^)「ドクオの部屋で寝たら色々奪われちゃいそうだから、お父さんの部屋で寝るお!」

…そう叫ぶと、カレーは部屋を出て行ってしまった。

('A`)「トーチャンの部屋はやめといたほうがいいと思うんだがなぁ」

まぁいいや。

('A`)「寝よっと」

俺は電気を消して、眠りについた。

――その夜、カレーの悲痛な叫びが響いたのは言うまでもないだろう。




「にゃお――――!!」




755 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:10:53.75 ID:nmJd2yvf0


/ ,' 3「ここの不定詞はこっちにかかるんじゃ。だから訳はこうじゃ」

英語の担当、荒巻先生の声が教室に響く。

昨日予習した分、授業はわかりやすくてすぐに理解できた。

('A`)「おし、順調だぜ」

訳もOK、と。

ミセ*゚ー゚)リ「ずいぶん気合入ってるね、ドクオ」

問題を一通り解いた時、隣の席にいたミセリが話しかけてきた。

('A`)「まあね。次の模試こそは塾内一位になりたいし」

ミセ*゚ー゚)リ「ふーん…。でも、僕も負けないからねw僕、前回は5位まで上がったんだよ」

(;'A`)「5位? げげ、ずいぶん伸びてるなあ・・・」

ミセリの前回順位は16位くらいだったのに。


758 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:13:38.29 ID:nmJd2yvf0

ミセ*゚ー゚)リ「へへ、苦手な数学も克服したしね。負けないよー?」

ミセリはいたずらっ子のような笑顔を向ける。

…だから、この心臓のドキドキは収まれって。

落ち着け俺、be coolに、だ。

(;'A`)「お、俺だって負けないからな」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、賭けようか?」

ミセリはペンを回しながら言う。


('A`)「賭けって、何を賭けるんだよ。金?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、そうだなぁ。私が勝ったらパンッとはじけるガム20個奢ってw」

( A )「20個…120円×20=2400円?」

毎月のお小遣い1000円の俺に2400円はきつい。

キツイってレベルじゃねーぞ!!

ミセ*゚ー゚)リ「うんw じゃあよろしくっ!」

('A`)「え、ちょwwお前勝手に決めるなよ! それに、俺が勝ったら何くれるんだ?」


769 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:16:03.71 ID:nmJd2yvf0

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオが勝ったら?」

ミセリはうーん、と少し考える。

そして、小さな声で



ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、ドクオのお願いを一回だけきいてあげるよ…」



心臓の鼓動速度が3倍になった。

お願い、何でも?

('A`)「え、え? でもそれって…」

ミセ*゚ー゚)リ「はい、決定! ほら、次の和訳始まるよ?」

そう言うとミセリは有無を言う間もなく、前を向いてしまった。


775 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:18:00.46 ID:nmJd2yvf0

俺も前を向くが、頭の中をさっきの言葉が木霊する。

――――まじで?

(*'A`)(フラグきたぁぁぁっぁぁぁおおおっほ!!!!)

お願い何でもOKきましたよ?

やりたい放題ですか、そうですか。


※(脳内)


('A`)「ミセリ、激しいよ…俺、もう疲れちゃったよ」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなこと言って、下のほうは元気だよ? えへへ…ん」

(*'A`)「らめぇwwwwなめちゃらめぇwwwwはにゃーーーんwww」

ミセ*゚ー゚)リ「今夜は、眠らせないよ。覚悟してね…ドクオ」


782 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:20:01.54 ID:nmJd2yvf0


(*'A`)「んふ、んふふんうふう」

/ ,' 3「…ドクオ君」

(*'A`)「はい! もちろん次もいけます!」

/ ,' 3「い、いや。もう授業終わったんだが・・・」







('A`)「え?」

786 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:22:13.40 ID:nmJd2yvf0

――…


('A`)「く、遅れをとってしまったぜ」

誰もいない教室で、一人寂しくノートを取る。

荒巻先生は親切にも今日の分の解答をくれたので、妄想で削られた部分を

必死で取り戻している。

('A`)(くそ、溜まってるんだな…。今夜は出しとかないと)

欲求は成果を妨げてしまう。

ボクシングでも、女酒タバコはご法度というくらいだ。

(主^ω^)「お…ドクオ、今日も頑張ってるお」

('A`)「あ、カレー」

カレーがけだるそうにバッグから顔を出した。

(主;^ω^)「昨日はひどい目にあったお。明け方までトーチャンから逃げ回ったお…」

('A`)「それで今日は元気が無いのか」

(主^ω^)「でも、バッグの中でぐっすり寝たから元気になったお!」


788 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:25:07.84 ID:nmJd2yvf0

カレーは大きなあくびをし、体を伸ばす。

('A`)(やっぱ猫、だよなぁ)

今更、この状況に疑問を持つ。

…カレーの世界を救うために俺はペンを動かしている。

もちろん、自分の為でもあるけれど。

('A`)「なんか、人生って何があるかわからんなぁ」

(主^ω^)「お?」

('A`)「いや、独り言だよ。それより、早く帰って勉強するか!」

(主^ω^)「ラジャーだお!」



790 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:26:59.75 ID:nmJd2yvf0

('A`)「…っ!?」


教室から一歩踏み出した瞬間、その足を止める。


人気の無い廊下に、人影。


…誰だ?


この時間、普段なら誰も来ないのに。




「お疲れ様モナ」






('A`)「なっ…!?」


792 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:28:59.78 ID:nmJd2yvf0


その人物が、俺の顔を見る。


ドクン、ドクンと


心臓の鼓動が激しくなる。



('A`)「お前は――」


特別進学コース、スカラシップ

VIP塾模擬試験、塾内第一位。最高点 496/500


( ´∀`) 「やぁ…君、模試の1位を目指すって言ったモナ?」



――天才、モナーが俺の目の前に立っていた。


798 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:31:26.26 ID:nmJd2yvf0


('A`)「ま、まあね。今回が最後だし、頑張ろうかなぁなんて…」

( ´∀`) 「ふぅーん…」

声が、震える。

足は棒になってしまったように固っている。

( ´∀`) 「ローマ帝国前期、パックス=ロマーナの下で繁栄した五賢帝時代の最初の皇帝は?」

('A`)「…え!?」

ローマ…? 歴史か?

五賢帝の最初の皇帝?

('A`)「えっと…トラヤヌス帝?」

咄嗟に記憶を探り、答える。

すると、モナーの口がニヤリと微笑んだ。


801 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:33:17.53 ID:nmJd2yvf0

( ´∀`) 「あははー、外れモナ。正解はネルヴァ帝だモナ」

('A`)「な…そんなの教科書に載ってないぞ」

( ´∀`)「君は愚かだモナ。用語集、というものを知らないのかモナ?」

(;'A`)「な、そんな細かい知識まで暗記しているのか!?」

( ´∀`)「ふふ…悪いけど、今の僕は誰にも負ける気がしないモナ、あは、あはははははは」

(;'A`)「!?」

モナーの体から黒いオーラのようなものが浮かび上がる。

――闇、と言った方がわかりやすいかもしれない

(主^ω^)「ドクオ、この人操られてるお!」

バッグからカレーが顔を出す。

( ´∀`)「へえ、喋る猫モナ。この世界の住人じゃない奴が他にもいたモナか」

(;'A`)「操られてるって…どういうことだよ!?」


808 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:35:25.41 ID:nmJd2yvf0

(主#^ω^)「…フォックス。僕の世界の滅ぼした奴が、DATを使ってそのモナーって人を操ってるんだお」

カレーは、全身の毛を立たせながら、話す。

( ´∀`)「正解モナー。ふふ、この体は頭が冴えてて優秀モナ」

(;'A`)「じゃあ、お前はモナーだけど、モナーじゃないのか?」

( ´∀`)「そうモナ。…お喋りはこのくらいにして、喋る猫。お前のDATをよこすモナ」

モナーはカレーを睨み付ける。

だが、カレーも負けじと毛を逆立て睨み返した。

(主#^ω^)「お前なんかにDATを渡す気はないお!」

( ´∀`)「ふぅん。そういうこと言うんだ」

モナーはゆっくりと腕を上げる。

そして、俺の顔を指差した。

(;'A`)「何を…!?」

( ´∀`)「ならば勝負するモナ。1週間後の塾内模試で、僕が1位になったらあのペン形のDATと
      猫の持っているDATを頂くモナ。もし君が勝てば、僕は大人しく諦めるモナ」


813 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:37:52.74 ID:nmJd2yvf0

(;'A`)「く…」

恐ろしいほどの威圧感が体を圧迫する。

( ´∀`)「まあ僕が勝つと思うけど、やるモナ?」

(主^ω^)「何を企んでいるんだお!」

モナーは不気味な笑みを浮かべ、答える。

( ´∀`)「この体じゃ力ずくでDATを奪うのは難しいモナ。だけど、DATが模試の賞品とは都合がいいモナ。
      僕は手を下すまでも無く、DATを得ることができるモナ」

モナーは見下すような視線を向けてくる。

( ´∀`)「さ、どうするモナ? 負ける勝負を受けるモナか?」

絶対的な自信。

たしかに、モナーの頭の良さは超越している。

無理だ、勝てるはずが、ない。


818 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:40:40.06 ID:nmJd2yvf0

('A`)「お、俺は――」

その時、何かとがった物が右手に触れる。

('A`)(っ!? なんだ?)

ポケットに入っていたそれを取り出してみる。

('A`)「これは…」

それは、俺が何年も使っているペンだった。

何の変哲も無い、でも俺と共に走ってきたペンだ。

('A`)「っ!」

不意に、走馬灯のような物が頭を過ぎった。



821 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:42:14.14 ID:nmJd2yvf0


「おーいドクオ、遊びに行こうぜ!」

                     「いや、今日は塾があるから…」

「あいつつまんねーぞ、ハブこうぜ」

                     「…あいつらみんな馬鹿だ。付き合う必要は無い」

「ドクオ、お前には先生も期待してるぞ。難杉高校いけるぞ!」

                           「…はい」

「はい、明日は単語テストしまーす」

                           「一単語100回書くぞ、よし!」



825 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:44:15.32 ID:nmJd2yvf0

そうだ。

俺はこのペンと一緒に努力してきた。

精一杯やってきたんだ。

('A`)「俺は、自分を・・・信じる」

( ´∀`) 「モナ?」

俺はぎゅっとペンを握り、その切っ先をモナーに向ける。

('A`)「その勝負、受けてやるぜ」

(主^ω^)「ドクオ…!」

カレーの想いも、自分の努力も、プライドも、全部ひっくるめてこの勝負を受けてやる。


830 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:46:06.59 ID:nmJd2yvf0

( ´∀`)「その目、むかつくモナ。二度と勉強ができないくらいに打ちのめしてやるモナ。
      1週間後、楽しみにしてろモナ」

そう言うと、モナーは外へ出て行ってしまった。

俺はゆっくりとペンをおろす。

('A`)「カレー、俺たちも早く帰ろう」

(主^ω^)「うんだお!」

モナーに勝つには、普通に勉強しても駄目だ。

だったら、あれをやるしかない。


('A`)「地獄の18時間勉強、やってやる…!」


834 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:48:00.20 ID:nmJd2yvf0


(主^ω^)「ドイツ帝国の初代皇帝は誰だお?」

('A`)「ウィルヘルム1世」

(主^ω^)「正解だお。次は…」

カレーは器用に一問一答をめくり、問題を出す。

その間、俺は歴史のノートを音読しながらひたすら書いて暗記していた。

(`・ω・´)「暗記には五感をフルに使え。耳、口、手、鼻、舌。できる限り全部だ」

トーチャンが隣からアドバイスを飛ばす。

18時間勉強をするとトーチャンに言った所、協力してくれると言われ、今に至る。


837 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:49:59.80 ID:nmJd2yvf0

('A`)「あれ、どうしてここにこの人が?」

(`・ω・´)「そこはこういうことだ」

分からないところがあると、トーチャンが後ろからフォローしてくれる。

トーチャンは経済的な理由で大学は行けなかったが、東欧大確実と言われていたらしい。

(主^ω^)「じゃあ、次の問題だお。日本の〜」

('A`)「これは…こうかな?」

(`・ω・´)「こっちの方が速く解ける。だからここは〜」


3人がかりで勉強を続ける。

睡眠時間は4〜5時間に削り、トーチャンは会社を休んでまでサポートしてくれた。

そして、幾多の困難をお互いに支えあい、18時間勉強は順調に進んで行った……




841 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:52:30.78 ID:nmJd2yvf0


1週間後…

【VIP塾内模擬試験】

朝。

案内の看板を確認し、指定された教室へ向かう。

ゆっくりと、廊下を歩く。

ミセ*゚ー゚)リ「あ、おーい! ドク…オ?」

廊下を歩いていると、ミセリに声をかけられた。

('A`)「おはよう、ミセリ」

ミセ*゚ー゚)リ「え、う、うん。おはよう」

('A`)「どうした? 俺の顔になにかついているか?」

ミセ*゚ー゚)リ「う、ううん。なんでもない! 今日は頑張ろうね!」

('A`)「ああ」


843 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:54:09.99 ID:nmJd2yvf0

俺はそれだけ話すと、教室へ向かう。

もう少し会話をしていたいが、模試が始まるまでの1分1秒がおしい。

ミセ*゚ー゚)リ(ドクオ…あれが本当にドクオ? オーラが違う…)



教室へ入り、参考書を取り出す。

最後の詰め込みは、暗記物だ。

英単語、社会、理科…こういった暗記物を直前にやれ、とトーチャンは言っていた。

( ´∀`) 「おやおや、最後の悪あがきモナか?」

英単語を何度も書く。

スペルミスは許されない。

(#´∀`) 「おい、無視かモナ?」

後30分で始まる。時間配分も注意しないと。

(#´∀`) 「何とか言えモナ!!」

('A`)「…お前、勉強しなくていいの?」


850 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:56:05.11 ID:nmJd2yvf0

英単語を書きながら、仕方なく答えてやる。

( ´∀`)「笑わせるモナ。モナは天才モナよ? 勉強する必要が無いモナ」

('A`)「ふーん」

( ´∀`)「君のような凡人は、絶対に僕を超えられないモナ。せいぜい足掻くモナ!」

そう言うと、モナーは席に戻る。

('A`)(わかってないよ…お前は、何も)



そして、試験時間10分前になり、試験官が姿を現した。




853 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 21:58:53.52 ID:nmJd2yvf0

(’e’)「それでは、VIP塾模擬試験を始める」

解答冊子と問題冊子が配られる。

俺は静かに目を閉じ、精神を集中する。

(主^ω^)(ドクオ…頑張るお!)

('A`)(これが、俺にとって最後の模試だ。・・・絶対に勝つ)

( ´∀`)(モナは天才なんだモナ。フォックス様、待っててくださいモナ)

ミセ*゚ー゚)リ(ドクオに勝つぞ〜! パンッと弾けるチョコ!)

それぞれの想いが教室に溢れる。



――時は訪れた。



(’e’)「試験、始め!!」


858 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:01:03.09 ID:nmJd2yvf0

('A`)「―-―!?」

開いた瞬間、場が凍りついた。

問題形式が、変わっている!?

(;'A`)(そ、そんな。こんな問題は過去問には載ってなかったぞ)

準備していた頭の中が真っ白になる。

落ち着け、落ち着けと心の中で呟くが、頭の中には何も浮かんでこない。

( ´∀`)(モナモナ。余裕モナー)

カリカリと、他人がペンを走らせる音が聞こえる。

落ち着け、落ち着けってば。

手の震えが止まらない。


867 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:04:46.10 ID:nmJd2yvf0

(;'A`)(駄目だ…ちくしょう。このままじゃ――)

ふと、腕に巻いたミサンガが目に入る。

('A`)(カレー…)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(主^ω^)「これ、僕がつくったお! 手作りのお守りだお!」

(;'A`)「お前、器用だな…。猫の手も侮れないもんだ」

(主^ω^)「僕、これくらいしかお手伝いできないけど、頑張ってお!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


('A`)(そうか…そうだよな)

俺は一人じゃない。

こんなことでうろたえてるんじゃ、カレーや父ちゃんに笑われちゃうぜ。


871 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:06:13.50 ID:nmJd2yvf0

('A`)(問題形式が変わったから何だ? 落ち着いて考えれば答えは――出る!)

俺はもう一度、問題を見る。

そして、スッスッと素早く解答を書いていく。

(’e’)(あの生徒・・・目つきが変わった!?)

('A`)(おらぁぁっぁっぁああ!!)


――――――



―――





875 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:08:11.75 ID:nmJd2yvf0

(’e’)「解答やめ!指示があるまで筆記用具に触れないこと!」

チャイムが教室内に響いた。

最後の教科を終え、生徒のため息やペンを机に置く音が一気に鳴り響く。

(’e’)「特進クラスの生徒の答案は明日返却します。それ以外のクラスは2週間後です」

(’e’)「では、本日はお疲れ様でした」

セントジョーンズ先生が礼をすると、塾生たちはがやがやと教室を出て行った。


('A`)「う〜ん、疲れた」

(主^ω^)「お疲れ様だお!」

外に出ると、カレーがバッグからこっそりと顔を出す。

('A`)「ふう、無事終わったよ。結果は明日にならないとわからないけど」

(主^ω^)「大丈夫だお。ドクオは頑張ったんだお! 努力の量はドクオが一位だお!」

(;'A`)「おいおい、俺が1位を取れなかった後のコメントみたいだな」


881 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:10:03.16 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「いやいや、僕はドクオが一位を取れるって信じてるお!」

('A`)「はは。まだわかんないよ」

俺は笑いながらカレーと話す。

とりあえず、やれることはやった。

後は結果を待つだけだ。

( ´∀`)「やあ。どうだったモナ? 僕? 僕はもちろん最高の出来モナ」

('A`)「聞いてない。さ、行こっか、カレー」

(主^ω^)「うんだお。今日はゆっくり休むといいお」

俺はカレーの入ったバッグを抱え、帰路についた。

…なんだか、すごい疲れた。

今日はもう帰って寝よう。

(#´∀`)「む、無視するとは生意気モナ。どうせ僕の勝ちモナ! ふん!」


886 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:12:01.19 ID:nmJd2yvf0


('A`)「ふう」

風呂から上がり、自分の部屋に入る。

疲れてる時の風呂ってどうしてこんなに気持ちいいんだろ。

('A`)「極楽ダーイブ」

(主#^ω^)「ふぎゃ!」

ベットにダイブする。

が、何かモコモコしたものが毛布の中にいたようだ。

(主#^ω^)「殺す気かお!?」

('A`)「ご、ごめん。いるとは思わなかった」

(主^ω^)「まったくもう…」

カレーが毛布から体を出し、隣に座る。


891 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:14:21.49 ID:nmJd2yvf0

('A`)「カレー」

(主^ω^)「にゃお?」

('A`)「もし、さ。DATがあいつ・・・モナーの手に渡ったらどうなるんだ?」

俺はカレーの目を見て、言った。

カレーも、真剣な目つきになる。

(主^ω^)「そしたら…フォックス――僕の世界を壊した奴の力が上がってしまうお」

沈黙が流れる。

負けた時の光景が、頭に浮かんでくる。

すぐに、その考えを振りほどいた。

('A`)「ま、明日になればわかるし、負けた時のことを考えても仕方ないな」

(主^ω^)「大丈夫にゃお、ドクオなら勝てるお!」

カレーが膝の上に乗り、励ましてくる。

…一番、怖いのはカレーだろうに。

こんな時まで他人を励ますなんて、お人よしだな。


896 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:17:56.69 ID:nmJd2yvf0

('A`)「俺たち、もう友達だよな」

(主^ω^)「お? 当たり前だお! ドクオは僕の友達だお! 」

友達、か。

久しぶりに聞いたな、その言葉。

('A`)「友達だから言うんだけど、俺、この模試で1位になったら告白するんだ…」

(主^ω^)「ちょwwwまじかお!?」

('A`)「ああ、決めた。今まで、ずっと今の関係が壊れるのが怖くて、自分の気持ちを隠してたんだ。
    …けどさ、もう迷うのはやめたんだ。男らしくビシッと決めるよ!」

(主*^ω^)「若いっていいにゃお…。ああ、青春だお」

('A`)「前から思ってたんだけど、お前何歳だよ…」


その夜は、お互いに腹を割って話した。

二人で話しているうちに、不安も薄れ、気づいたら深い眠りについていた。


903 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:20:00.97 ID:nmJd2yvf0


特進クラスの教室。選び抜かれた生徒が席に座っている。

今日、模擬試験の結果が明かされるのだ。

('A`)「いよいよだな」

(主^ω^)(うんだお)

カレーはバッグに隠れつつ、小声でささやく。

俺が教室に入ると、嫌な顔が目に入った。

( ´∀`)「やぁ。いよいよモナね。覚悟はできてるモナ?」

('A`)「それはこっちの台詞だぜ、モナー。…いや、モナーを操ってる馬鹿」

(主^ω^)(そうだお! 勝つのは僕達だお!)

( ´∀`)「へぇ、ずいぶん大口叩くモナ。ふふ、今のうちにいきがってろモナ」

モナーは不適に微笑み、席に戻った。

('A`)「ふん」


908 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:21:40.21 ID:nmJd2yvf0

ミセ*゚ー゚)リ「や、ドクオ。ついに結果発表だね」

席に座ると、隣の席にはすでにミセリがいた。

('A`)「おう、ミセリ。ちゃんと賭けは覚えてるよな?」

ミセ*゚ー゚)リ「もちろんwでも僕、自信あるよ?」

('A`)「俺だって自信あるぜ。ま、まぁ俺が勝ったら…その」

ミセ*゚ー゚)リ「?」

ミセリの顔を見る。

目が合い、その瞳に吸い込まれそうになる。

('A`)「い、いや、結果を見てからにしよう」

ミセ*゚ー゚)リ「ふふ、何? 言いづらいことかな〜いやらしぃw」

(;'A`)(ちぇ、分かってるくせに…)

その後、緊張した沈黙が教室を支配した。

一分が、まるで一時間のように感じる。

そして、教室のドアが開いた。


914 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:23:29.61 ID:nmJd2yvf0

(’e’)「では、答案を返す。順番に取りに着なさい」

セントジョーンズ先生がそう言うと、答案が返され始める。

どんどん答案が返され、順番が近づく。

('A`)(…カレー)

(主^ω^)(…ドクオ)

バッグの中に手を入れ、カレーの前足をしっかりと握る。

(’e’)「次、モナー君」

( ´∀`)「はいモナ」

モナーが答案を受けとる。

だが、裏側にしたままで中を見ていない。

…見なくとも勝利を確信してるってか。

( ´∀`)「ふふ、君がどんな絶望した顔を見せるのか楽しみモナ」

('A`)「…」


924 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:25:20.88 ID:nmJd2yvf0

(’e’)「次、ドクオ君」

俺の名が呼ばれたる。

ゆっくり、ゆっくりと教卓のほうへ足を進める。

心臓の音が、はっきり聞こえる。


そして、答案を受け取り――――



(主;^ω^)


( ´∀`)


ミセ*゚ー゚)リ




           5教科合計 497/500

            塾内順位 1位



935 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:27:32.16 ID:nmJd2yvf0

('A`)「――あ」

結果を、見た。

一位、そう書かれている。

何度見ても、その数字は変わらない。

(’e’)「おめでとう、ドクオ君。君が一位だ」

セントジョーンズ先生が、そう言った。

( ´∀`)「ほーらやっぱり…え?」



('A`)「よっしゃぁぁー!!!」

俺は拳を高く掲げ、ガッツポーズを取った。

本当に、やったんだ。

俺が勝ったんだ…!!


952 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:31:17.37 ID:nmJd2yvf0

静まり返った教室。

俺はその教室に、言葉を放つ。


('A`)「俺は、カレーや、トーチャンの支えが無かったら一位はとれなかった!
    みんながいたから、ここまで頑張れたんです!」


自分の、正直な気持ちをぶつける。

誰に対して言ってるのか、わからない。

自分に対して言ってるのかもしれない。

(’e’)「…すばらしい。君のような生徒を持って、私は感無量だ」

セントジョーンズ先生が、拍手をした。

それにつられて、一人、また一人と生徒が拍手をし始める。



――やがて、拍手の嵐が教室に鳴り響いた。


958 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:33:02.88 ID:nmJd2yvf0
「すごいよ。おめでとう!!」
「お前、頑張ってたもんな。すげぇよ」
「俺もガンプラばっか作ってないで努力するよ!」


('A`)「みんな…グスン。ありがとう」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオ、賭けは私の負けだね」

('A`)「ミセリ」

俺は、優しく微笑む。

('A`)「今日の5時に、3丁目の土手に来てくれないか?…話したいことがあるんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「う、うん。わかった」


967 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:35:06.29 ID:nmJd2yvf0

(’e’)「さあ、賞品の贈呈だ!」

ワァァァァァ、と歓声が沸いた。

(主^ω^)「ドクオ、いくお」

('A`)「おう!」

俺はセントジョーンズ先生の前に立つ。

そして――

(’e’)「本当におめでとう!」

そのDAT――VIP塾のオリジナルペンを受け取った。

('A`)「よっしゃぁぁぁ!」

再びガッツポーズを決める。

その後、教室の机や椅子を廊下に出し、盛大な胴上げが行われたのであった。



(  ∀ )「バカナ…ボクガ5位ナンテ…ドウシテ…」


975 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:37:03.67 ID:nmJd2yvf0


胴上げも終わり、塾の外へ出る。

夕日がアスファルトを赤く照らし、蕎麦屋の笛の音がどこかから聞こえてくる。

('A`)「これで、終わったんだな」

(主^ω^)「うんだお! …ドクオ、本当にありがとうだお」

カレーは俺に向かって頭を下げる。

('A`)「そりゃ俺が言う台詞だぜ。正直、一人だったら絶対にどこかで挫折していたよ」

(主^ω^)「ドクオ…」

('A`)「でも、さ。お前がいたから最後まで頑張れたって言うか…うまく言えないけど、そんな感じだよ」


983 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:39:01.18 ID:nmJd2yvf0

お互いに目を合わせ、微笑む。

傍から見たら、猫と目を合わせて笑っている変な人にしか見えないだろうけど

俺は、この心地よい空間を満喫していた。

('A`)「そうだ、DATをお前に渡さないとな」

俺はバッグからDATであるペンを取り出した。

('A`)「はい」

(主^ω^)「ありがとうだお! これで、僕の世界の復活にまた一歩近づいたお!」

カレーにペンを渡そうとする。



だが、その手はカレーに届く前に、止められた。




989 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:40:50.25 ID:nmJd2yvf0

( ´∀`)「フリーズ!」

('A`)(主^ω^)「!?」

声が発せられた方向に視線を向ける。

そこには、ナイフを手にしたモナーが立っていた。

('A`)「モナー…!?」

( ´∀`)「ありえないモナ…そのDATは僕が得るハズだったモナ。この僕がね…」

モナーはナイフを握り締め、近づいてくる。

夕方の路地、辺りに人気は無い。

( ´∀`)「天才である僕が…君のような凡人に負けるなんて何かの間違いモナ。ふひ、ふひひ」

モナーの目が黒く歪む。

背後にはおぞましい闇のオーラが発せられている。

(主^ω^)「恐ろしい憎悪だお…!」

( ´∀`)「この体は、天才だったはずだ。なぜ、なぜ負けたんだ?え? お前カンニングか?」

モナーは一歩、また近づきながら言う。


10 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:42:29.50 ID:nmJd2yvf0

('A`)「…お前、どうして自分が負けたか気づいてないのか?」

( ´∀`)「それは、どういうな意味だ?」

モナーの足が止まる。

('A`)「俺はさ、最初モナーのことを天才だと思ってた。勉強しなくてもできる奴だって」

( ´∀`)「その通りだモナ。このモナーは文字通り天才なのだからモナ」

('A`)「でも、お前と会った時――俺はあることに気づいたんだ。お前の右手のペンダコにな」

俺がそう言うと、モナーは自分の右手を見る。

そこには、確かにペンダコの後が存在していた。

('A`)「モナーは何もしないで一位をとっていた訳じゃない。それに見合う努力をしてたんだ。
    けど、モナーの体を乗っ取ったお前はそれを怠った」

( ´∀`)「そんな…モナーが努力を? 僕は天才だ。ありえな…う…うぉ」



12 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:44:03.00 ID:nmJd2yvf0

モナーの口調がおかしくなり、頭を抱えて苦しみ始める。

(主^ω^)「モナー君を乗っ取ってる悪の力が分離しかかってるお!」

( ´∀`)「うお…畜生、DATだ、DATをよこせぇぇぇ!」

モナーが地面を蹴り、突進してくる。

だが、突きつけられたナイフに不思議と恐怖心は沸かない。

('A`)「ペンを投げた時点で、お前は負けてたんだよ!」

俺はDATであるペンを握り、空高く掲げる。

すると、ペンが光を発し、七色に輝き始めた。


25 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:47:59.62 ID:nmJd2yvf0

('A`)「勉強において、実力に繋がるのは努力の持続…」


( ´∀`)「おおおおお!!!!」


('A`)「努力を怠り、ペンを投げた者に、裁きを!」


( ´∀`)「――ッ!」

(主^ω^)「ドクオ!」


('A`)「モナーの体から消えろぉぉぉ!!」


ペンの切っ先をモナーへ向ける。

七色に輝いた光線が放たれ、モナーの体を包み込んだ。

( ´∀`)「うう、うあああああああ! ち、畜生ぉぉぉ!」


モナーの中から闇のオーラが消え去っていく。

強烈な閃光。 ・・・やがて、視界が元に戻った時、モナーはその場に倒れこんでいた。


31 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:49:59.97 ID:nmJd2yvf0

――――


――


( ´∀`)「あ、あれ? ここはどこモナ?」

('A`)「モナー…だよな?」

( ´∀`)「えっと、君はドクオ君? なんで僕、こんな所に…」

モナーは起き上がり、首を横に振る。

説明してやりたいが、いかんせん説明しづらい…。


37 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:52:00.50 ID:nmJd2yvf0

('A`)「い、いや。お前急に倒れたんだよ。模試で疲れがたまってたんだろ」

( ´∀`)「そうモナか。うーん、なんか記憶が曖昧だモナ。…まぁいいや」

モナーは自分の鞄を持ち上げる。

('A`)「お、おい。帰るのか?」

( ´∀`)「帰るモナ。早く帰らないと今日のノルマがこなせないモナ」

('A`)「…ちなみに、ノルマってどのくらい?」

( ´∀`)「これくらいモナ」

モナーはポケットからメモを取り出すと、俺に見せた。

('A`)(こりゃ勝てないわ…)

( ´∀`)「それじゃ、ばいばいモナ」

マイペースな天才は夕日を浴びながら去っていった。

その姿を、俺は一生忘れないだろう。


41 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:54:01.20 ID:nmJd2yvf0


('A`)「はい、DAT」

(主^ω^)「今度こそちゃんと受け取りましたお」

俺はカレーにDATを手渡す。

さっきまで光り輝いていたのが嘘の様に普通のペン。

('A`)「にしても、さっきの七色光線は一体…」

(主^ω^)「それは、きっとドクオの想いがDATの力を呼び起こしたんだお」

('A`)「想い、か」

何の想いだろう。

考えてみたが、面倒なのでやめた。

結果としてDATも得れたし、モナーも元に戻った。


47 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:56:00.88 ID:nmJd2yvf0

('A`)「で、カレーはこれからどうするんだ?」

(主^ω^)「僕は…」

急に表情が曇る。

何か、言いにくそうな様子だ。



(主´ω`)「僕は、他のDATを集める為に、また別の世界に飛ばなきゃならないお…」


56 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 22:58:01.75 ID:nmJd2yvf0

('A`)「…そっか」

わかりきっていたことだ。

けれど、どこかで期待してたのかもしれない。

もう少し、一緒にいられる、と。

('A`)「そっか、じゃあDATも手に入ったし、早く他の世界に行かないとな!」

(主^ω^)「…ドクオ?」

俺はカレーに背中を見せ、続ける。

('A`)「さっさとDATを集めないと、フォックスとか言う奴に出し抜かれるんだろ?
    だったら、もうこの世界には用は無いだろ」

(主^ω^)「そ、それはそうだけど…」

('A`)「言っとくけど、俺はお前がいなくたって寂しくないんだからな!
    いちいち気を使ってグズグズ遅らせんなよ。俺だってお前に構ってる暇はないんだし」

早口で、そう言った。

早口じゃないと、その意味を自分が理解して、涙が出てしまうから。

('A`)「俺は…受験もあるし、これから告白しなきゃいけないしな!」


61 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:00:01.19 ID:nmJd2yvf0

(主^ω^)「ドクオ…」

背後から聞こえるカレーの声が、俺の目頭を熱くさせる。

…馬鹿、早くいけよ。

これ以上は、やばいって。

('A`)「ほら、早く行けって。俺はもう行く――

言葉が途切れた。

カレーが俺の前に回りこみ、そのニコニコした顔を見せる。

(主;ω;)「ドクオ。僕、僕…!!」

あーあ、泣いてやんの。

猫が涙を流すなんて見たことないよ。

('A`)「ばっか…なんで、顔見せるんだよ…」



(;A;)「涙が、涙が出ちまうだろーが!!」




66 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:02:02.10 ID:nmJd2yvf0

(主;ω;)「ドクオー!!」

カレーをしっかりと抱きしめる。

涙が頬をつたい、ポロポロと地面に落ちていた。

(;A;)「お前のこと、忘れないからな! またどっかで会おうな!」

(主;ω;)「僕も忘れないお! ドクオは、僕の友達なんだお!」

人気のない路地。

夕日に照らされ、俺たちは最後のひと時を過ごす。

やがて、カレーの首輪に引っ掛けられていたDATが光を発し、カレーの体を光が包み始めた。

('A`)「カレー!」

(主^ω^)「ドクオ…本当にありがとうだお」


71 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:04:00.65 ID:nmJd2yvf0

DATの光はどんどん強くなり、やがて視界が真っ白になる。

光の中で、カレーの声が再び聞こえた。


       (主^ω^)「さようならだお。ドクオのこと忘れないお」



……





('A`)「あいつ、最後までお礼ばっか言いやがって…」

俺は軽くなったバッグを抱え、立ち上がる。

残った涙を袖で拭い、顔を整える。

('A`)「4時50分か、やべ、急がなきゃ!」

もう一つの、大切な約束を思い出す。

('A`)「カレー…お前のおかげで気づいたんだ。俺はもう、一人じゃないんだよな」

俺は、最後にそう呟くと、土手へ向かって走り始めた。


77 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:06:04.20 ID:nmJd2yvf0


夕日に照らされた土手に、人影が二つ並ぶ。

('A`)「ミセリ」

ミセ*゚ー゚)リ「お、ドクオ。遅いぞ〜」

('A`)「悪い悪い。色々とあってね」

ミセ*゚ー゚)リ「それで、話って何?」

ミセリが俺の目を見る。

俺も…いつもなら逸らしてしまう所だけど、今は違う。

ミセリだって、待ってるんだ。

俺の言葉を。


81 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:08:00.87 ID:nmJd2yvf0

('A`)「あの、さ。模試で勝ったら、俺のお願いを聞いてくれるっていったよな?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。まぁできる範囲でねw」

可愛い笑顔。

ほのかな香り。

――やっぱり、俺にとってミセリは大好きな存在なんだ。

その想いを、伝えるんだ。

('A`)「ずっと待たせてごめん…」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」


二人の間を、風が吹きぬけた。


('A`)「好きです。俺と…付き合ってください」


92 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:09:46.25 ID:nmJd2yvf0

――言った。

俺の気持ちを、伝えたんだ。

ミセ*゚ー゚)リ「え?あ、あの・・・」

('A`)「愛してるよ」

ここでもう一歩踏み出す。

もう、お互いの気持ちは分かり合っているんだ。

('A`)「この一歩が踏み出せなくて、君を待たせてしまった。ごめんな」

ミセ*;゚ー゚)リ「……」

俺はミセリの手をぎゅっと握る。

('A`)「幸せな未来へ走ろう。一緒に…ね」

ずっと考えていた台詞を言った。

ミセリは嬉しさと驚きのあまり、声が出ないようだ。

ふふ、やっぱり女の子。ちゃんとリードしてあげなきゃな…。

('A`)「さあ、あの夕日に向かって走ろう!」


109 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:11:59.13 ID:nmJd2yvf0








       ミセ*゚ー゚)リ「あの…ごめん」

          ('A`)「え?」







127 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:13:59.82 ID:nmJd2yvf0

ミセ*゚ー゚)リ「…」

ミセリは俺の手を振りほどく。

('A`)「え、え?」

ミセ*゚ー゚)リ「あの、気持ち悪…いや、気持ちは嬉しいんだけど…」

ミセリの冷たい目線が、俺のハートに突き刺さる。

('A`)「う…?」

ミセ*゚ー゚)リ「僕にとって。ドクオは、その塾の友達って言うか…」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオのことそういう風に見れないし、僕、彼氏いるから」

ガシャリ、と俺のハートにひびが入る音がした。


ミセ*゚ー゚)リ「ご、ごめんね?」

ガラガラと、その一言で俺のハートは完全に崩れ落ちた。

ミセ*゚ー゚)リ「じゃ、さよなら」

そう言うと、ミセリは呆然と立ち尽くす俺を置いて行ってしまった。


136 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:15:57.72 ID:nmJd2yvf0

('A`)「えーっと」

落ち着いて整理しよう。

ミセリは俺のこと好きだったはず。

まず、その根拠は?

…うーん、俺に対する態度ですかね。

でも好きじゃないって、つまり↑の方程式は成り立っていないのだ。仮定なのだ。


   \  __  /
    _ (m) _ピコーン
       |ミ|
    /  `´  \
      ('A`)    なるほど、思い込みだ!
      ノヽノヽ
        くく



147 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:17:10.36 ID:nmJd2yvf0
('A`)「なるほどwwwそういうことっすかwwwww」

俺は笑いながら、土手の芝生を転がり落ちる。

('A`)「いやーww怖いねwww思い込みwwwうふふふww」

ゴロンゴロンと芝生の上を転がりまくる。

土手を散歩する人々が何事かと見てくるが、気にしたら負けでしょう。

('A`)「あははっはあああア・・・はは…へへ・・・ふひひ・・・」

今日は何だか夕日が目にしみるぜ。

…さて、冷静になるとするか。


155 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:18:44.84 ID:nmJd2yvf0



      \('A`)/




俺の ペン は 進まなくなった ようです。

俺の受験がどうなったかって? それはまた、別のお話でわかるだろう・・・。


―――――

【時空移動中】

(主^ω^)「ドクオ・・・今頃あの子と仲良く帰ってるころかお」

(主^ω^)「羨ましいお・・・よし、僕も頑張るお!」



――to be continue


167 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:20:30.09 ID:nmJd2yvf0




      ( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです


        【 次 回 予 告 】


    溢れ出すエナジー     いかれるーエニティン♪




184 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:21:58.14 ID:nmJd2yvf0

('A`)「トーチャン、何やってんの?」

(`・ω・´)「ふふ、ドクオよ。どうやら私は超能力がつかえるようだ」

(;'A`)「…え?」

(`・ω・´)「見てろよ。はぁ――スプーン曲げ!」

(;'A`)「…」

(`・ω・´)「どうだ! すごいだろう? 俺も頑張ってみたんだ」

('A`)「と、言うわけで次回のお話は生まれながらにして特殊な力を持った人々のお話!」

(`・ω・´)「こーんな力やあーんな力も出てくるぞ!」

(;'A`)(…トーチャン、でしゃばりすぎ)


198 手話通訳士(神奈川県) 2007/03/13(火) 23:23:16.95 ID:nmJd2yvf0

( ^ω^)ブーンが世界を巡るようです


【次回 in ( ^ω^)ブーン達は異能者だったようです】


( ゚д゚ )「お楽しみに」

('A`)「な…何ぃ?」

(*゚ー゚)( ^ω^) 川 ゚ -゚)「パンッ!」

(*;゚ー゚)(;^ω^) 川;゚ -゚)「出番これだけかいっ!」



第5世界へ


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