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('A`) 麻雀で対決するようです

〜13〜

460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 01:31:33.67 ID:JvC2McmT0
 
〜 〜 〜

13

 さらなる壁にぶち当たり、打ちひしがれるドクオ。
 今日はやる事なす事裏目に出ているような気分になる。

 残り二局で24000点を引っくり返すのは、
 直撃がない限り、現実的にはかなり厳しい条件といえる。
 深い溜め息とともに、ドクオはトイレのドアを開いた。


(|||'A`) 「はぁ……」 ガチャ

Σ( ^ω^) 「おっ! ドクオじゃないかお!」

('A`) 「あ、ぶ、ブーン」

(; ^ω^) 「ドクオ、どっか行ったと思ったらフリーにいたからびっくりしたお」

(;'A`) 「あ、ああ、ごめん。 やむにやまれぬ事情があって……」

( ^ω^) 「まあなんとなく想像はつくお。 高岡くんに誘われたお?」

('A`) 「うん……そんなところ」

(; ^ω^) 「おっおっお。 やっぱり……」

464 :>>461( ´∀`)いわゆるニサシゴ、サシロッパだね[]2008/10/23(木) 01:34:34.48 ID:JvC2McmT0
 
 ドクオが小便器に向かう横で、手を洗いながらブーンが訊ねた。


( ^ω^) 「それで、初めてのフリー体験はどうかお? 勝ってるのかお?」

(||'A`) 「いや……全然ダメだ。 ……ブーンは?」

( ´ω`) 「僕もダメダメおー。 ツンに国士振っちゃったお」

(;'A`) 「……マジで? それは気の毒に……」

( A ) (はあ、俺もサクッと役満が出せればなあ……)

( ^ω^) 「まあこの後で取り返すおwwwドクオも早く戻ってくるお?」

('A`) 「う、うん……」


 言いながら、ドクオは心がさらに重くなるのを感じた。

467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 01:37:07.26 ID:JvC2McmT0
 
('A`|||)... 「……」
 

 セットの卓に戻ってきた時、自分はクーと話す権利すら、失っているのかも知れない。

 『 クーへの挑戦権 』

 当人の預かり知らぬところで、口約束にすぎない抽象的な取り決めだが、
 もしここで負ければ、
 今後ドクオは、ずっと高岡に負い目を感じながら過ごしていかなければならなくなる。


( A ) (そりゃ、俺なんかがクーちゃんと……なんて、高望みもいいところだ
    ……けど)


 クーを狙う”高岡”という存在により、
 今まで培ってきた彼女との距離は失われ、
 同じ”セット麻雀仲間”という立場すらも、無くしてしまうのではないか。

 別段、何か恋愛的なアプローチをしたことがあるわけではないが、
 これからは、その行為すら許されなくなってしまう。
 何のアクションも起こさないまま、今日ですっぱり彼女を諦めなければならないのだ。


(|||A`) (ううっ、ううう……)

(|||A ) (俺が高岡に勝てるものなんて何も無いけど……
     その上、麻雀でも負けるのか……はは……)
471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 01:40:50.68 ID:JvC2McmT0
 
( ^ω^) 「ドクオ」

(|||A ) 「……何?」

( ^ω^)b 「クー、ドクオと対局したがってたお?」


 ( A )


Σ( A ) 「……え?」

(;'A`) 「ほ、ホントに?」

( ^ω^) 「嘘じゃないおー。 ホントだお」


 川 ^ω^) 『 ドクオ君は、派手な仕掛けやリーチはあまりないが…… 』

 川 ^ω^) 『 一歩一歩、着実に間合いを詰めてくる、隠れた実力派だな 』


( ^ω^)b 「って、ドクオのことを誉めてたんだお!」

('A`) 「……」

475 :( ´∀`)オバカミーコはマジでおすすめだモナ[]2008/10/23(木) 01:45:28.42 ID:JvC2McmT0
 
( ^ω^) 「ドクオは地味だけど認められてるんだお! 地味なりにガンガレお!」

(;'A`) 「う、うるせー。 地味地味言うな」

( 'A`) 「……」

( A ) 「……けど」

 
 折れかけていたドクオの心が、芯を取り戻していく。


( A ) (ははっ……なんだよ、俺らしくもない)

( A ) (何、勝手に負けたあとのことを考えてるんだよ、俺は)

( A ) (勝負は最後まで何が起こるかわからない。
     もう二局じゃない、あと二局もあるんだぞ)


(#'A`) (そうだよ、だらしねえったらありゃしねえ。
     諦めるのはまだ……早すぎる!) 

481 :>>473立直、タンヤオ、中ビームだな[]2008/10/23(木) 01:48:37.54 ID:JvC2McmT0
 
('A`) 「ブーン……」

( ^ω^) 「お?」

('∀`) 「ありがとな」

( ^ω^) 「おっお? 僕は何もお礼言われることなんて」

('A`) 「いや、いいんだよ……」


 クーすらも認めてくれているような、自分の持ち味を再発見できたんだから。


( ^ω^) 「よくわからんけど、頑張れお。 あとどのくらいかかるお?」

('A`) 「ああ、いま南三局。 もうすぐ終わるよ」

( ^ω^) 「そうかお、りょーかいりょーかい」

( ^ω^)ノ 「じゃあ、僕は卓に戻るお。 ドクオも終わったら戻ってこいお」

('A`) 「うん、わかった。 迷惑かけてごめんな」

486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 01:50:30.98 ID:JvC2McmT0
 
( ^ω^) 「……ドクオ」

('A`) 「ん?」

( ^ω^)b 「グッドルック」

(;'A`) 「ラックだろ」

( ^ω^) 「外見にも気を使えってことだお」

(;'A`) 「ほっといてください!」


〜 〜 〜

494 :東ビームは3方向ビームなのでお得[]2008/10/23(木) 01:53:15.81 ID:JvC2McmT0
 
【 南三局 ⊂::::⊃×2 】 ■■六■■■■


 ドクオが卓に戻ると、既に五巡が経過しており、
 彼の席にいたメンバーが牌をツモったところだった。


Σ(;'A`) (え、ええ!? 代走って代わりに打つことだったの?)

(`・ω・´)「はい、代走のお客さまお戻りです。 手牌を伏せてください」

(ゝ○_○) 「南三局2本場、ドラは七萬です。
       お客様の切り番です、どうぞ」

('A`) 「あ、あ、ハイ、アリガトウゴザイマス」

(|||'A`) (しまった……俺は待っててくれてるのとばかり……)


六巡目。

('A`) : 二三(25568)東東東白白中  ツモ(3)

(*'A`) (あ……でも、これはメンホン行けそうだ!)  打三。

496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 01:55:14.43 ID:JvC2McmT0
 
 とりあえずマンズのターツを払いつつ、場を注意深く見渡す。


 ('A`) 捨牌:
 82八九6三


(;'A`) (メンホン行けそうっていうより、メンホンしか狙ってなかったぽいな……)


 これが、五巡目まで自分の代わりに打っていたメンバーの意志だろう。


(;'A`) (こんな大事な局面で、他人に運命の舵取りを任せちゃって……
     どうするんだよ俺!
     まあ、おかげで元気を取り戻せたんだけどさ)


 頼みの綱である白は場に一枚も出ておらず、
 中は親の高岡が四巡目、下家が同巡合わせ打っており、場に二枚枯れていた。

499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 01:58:19.20 ID:JvC2McmT0
 
八巡目。

('A`) : 二(235568)東東東白白中  ツモ(7)

(*'A`) (よしっ! ……いいぞ、これは充分メンホン行ける!)

('A`) (1−4ピンが先に入ればリーチ。
    白か赤5ピンなら、ダマで直取りを狙うのもアリだな……)  打二。


 次巡、下家から白がツモ切られるが、ドクオは鳴きたい気持ちをぐっと抑えこむ。

 そして十巡目、膠着していた場が動き始めた。


阿部 「リーチ」  打3。


阿部の捨牌:
發(2)南6(1)7
一發83 ←リーチ


(|||'A`) (くっ……!)


 上家である南家の3ソウが横に曲げられ、ドクオは内心苦しみにあえぐ。
506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:02:00.83 ID:JvC2McmT0
 
同巡、南家の一発の可能性は継続中。

('A`) : (2355678)東東東白白中  ツモ三


(;'A`) (ううっ、捨て牌にソーズの安い南家のリーチには、かなりの危険牌だが……)

(#'A`) (ここで降りてちゃ、勝負にならない!)  打三(ツモ切り)。


阿部 「……」

(;'A`) (と、通っ……た)


 幸いにも、三萬に声はかからない。
 ドクオのメンホンは果たして間に合うのか。


十一巡目、南家の一発の可能性は継続中。


从 ゚∀从 :  ツモ[?]


 ここで、親である高岡が、ツモ牌を見て一瞬動きを止める。

510 :平均聴牌巡目がすごすぐる[]2008/10/23(木) 02:04:35.50 ID:JvC2McmT0
 
从 ゚∀从 「……」

从# ∀从 (……ハンッ!)  打七(ツモ切り)。

Σ( ゚A゚) (なっ!? 一発でドラを……)

キバヤシ (……む、強いな……まさかサブリミナルによる強化人間──!?)

阿部 「男は度胸! 何でもいってみるものさ」

从 ゚∀从 (へへっ、今の俺は順風! そんなリーチに振り込むわけねーぜ!)

(;'A`) (く……奴にも、手が入ってるのか……?)


 次巡、高岡はこれまた危険牌の7ピンをも事も無げに叩き切り、
 リーチに対して、真っ向から勝負を挑む構えである。

514 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:06:48.22 ID:JvC2McmT0
 
そして同巡(十二巡目)、ドクオの手牌にもターニングポイントが訪れる。


('A`) :(22355678)東東東白白  ツモ白

(;'A`) (よし……ようやくテンパイにこぎつけた!)

('A`) (剛直に、三暗刻付き倍満ツモ狙い(リーヅモメンホン白三暗刻)の、打3ピンリーチか!?
    はたまた、2ピン切ってのダマという選択肢も……)


 リーチ者である南家の河には、五巡目に1ピンが切ってある。


('A`) (しかし、勝負する気満々の親……高岡から、降り打ち※狙いは微妙……。
    ツモ切ることはあるかも知れないが、
    降り打ちだとしたら、北家から出るのが関の山だ)


※降り打ち……ここで言う降り打ちとは 『 降りるように打つ 』 ことではなく、
          降りるつもりで振り込んでしまうこと。

          例えば、親リーの現張り(親の河に切ってある牌を待つテンパイ)だと、
          ダマテンに構えることで、他家からの降り打ちが狙える。
          字牌の地獄単騎なんかでリーチすることも、ある意味、降り打ちを狙った戦術。

519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:10:44.40 ID:JvC2McmT0
 
(#'A`) (なら……こうだ!)


 ドクオは小考のあと、一枚の牌をつまみ上げると、河へ横薙ぎに滑らせた。


( A ) 「……リーチ!」

从 ゚∀从 「!」


('A`)捨牌:
82八九6三
伍二中三一(2)←リーチ


('A`) : (2355678)東東東白白白

 狙いはもちろんツモっ跳ね(リーヅモメンホン白)、あるいは満貫の直撃。
 南家から出やすいのはネックだが、ハネツモの可能性を何より重視し、
 最も枚数の多い1−4ピン待ちでリーチ、という選択をドクオは取ったのだった。


从 ゚∀从 (チッ……奴もリーチか、しかし今の俺が負けるわけねえ!)


 怒涛の二軒リーチに、全ツッパの親・高岡。
 果たして、この局の勝利を掴むのは誰なのか。
529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:15:19.74 ID:JvC2McmT0
 
 そんな叩き合いの中。
 十四巡目、リーチの南家から5ピンがツモ切られる。


阿部 「……」 パシッ  打(5)。

Σ(;'A`) (ぐうっ……!)


 2ピンと5ピンのシャボ受けにとっていれば、満貫のアガリだった牌。
 ドクオは叫び出しそうになる気持ちをぐっとこらえ、目の前の一牌に集中した。





十六巡目──。





                   「ロン」

 
532 :>>528( ´∀`)スマンモナ……2時40分にはなんとか[]2008/10/23(木) 02:17:31.14 ID:JvC2McmT0
 
 声がかかったのは、意外な場所からだった。


阿部 「!」  打八。

从 ゚∀从 (おっとぉ……そっちも張ってたのかあ)


キバヤシ : 四伍六七九(34r5)33北北北  ロン八


キバヤシ 「ゴンニーは5800点の一枚なんだよ!(北・ドラ・赤)」

Σ(;'A`) (なっ、なんだってー!)

538 :>>530( ´∀`)朝だ徹夜[]2008/10/23(木) 02:19:56.08 ID:JvC2McmT0
 
           ,,x-ー:: ":::::
        ,x '"::::::::::::::::::::
      ,、'":::::::::::::,, x-‐ ァ:
    ,,x '"::::::,,、- '"     |::: 
    `"i`ー'"        ヾ  
      !  、 、,,,,,,,,,;;;;;;;;;彡ミ
     |,,,,ノi `ーヾ;; '"----、  
     ヾ::ヽ     -┴'~   
      ~|:/ ' ' ' `ー ' "'"  
      /_              :
     l    '' )    i    :
      ヽ,,、'~`      U
       ゙, __ ,-、_,ノ`
 |/      ゙, `'" ,,y
 |/  彡  ゙、`-'"
   /|/     i
   /        !    ,, -'"
    |     `ー '"|::
    |      /|||ヽ
          /|||||/心
          |ヾ/ /`ー

阿部 「この分だと、相当我慢してたみたいだな……ホラよ」

キバヤシ 「ノアの冷凍方舟計画(プロジェクト・ノア)は、すでに始まっている!!」

546 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:21:45.65 ID:JvC2McmT0
 
(;'A`) (うっ……脇同士の放銃……!)

从 ゚∀从 (チッ、まあいいや。 これでもトップはもらったようなもんだ!)


(|||'A`)  ・・・。

  [(2355678)東東東白白白]


(((; A ))) 「くうぅっ……!」


 ようやく訪れた最大のチャンス手を潰されたドクオ。
 思わず、手牌の両脇を握る手に、力が入った。


 ('A`)    ……16400 (-1000)
 キバヤシ……28500 (+5800+2000)
 从 ゚∀从 ……41600
 阿部   ……13500 (-1000-5800)


※目で確認する対局結果(南三局1本場)
  ( ´∀`)っhttp://blog-imgs-41.fc2.com/o/w/a/owatalife/nan3kyoku-1.jpg

551 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:25:53.37 ID:JvC2McmT0
 
〜 〜 〜

(`・ω・´)「次局はオーラスです。
      10万点の点棒確認をお願いします」

 卓のパネルにデジタル表示されている点数と、実際の点棒に差がないか確認したあと。
 牌を中央へ流す前に、ドクオはメンバーに向かって告げた。


('A`) 「す、スミマセン……」

(`・ω・´)「はい?」

( A ) 「……ドリンクの、注文、お願いします」

(`・ω・´)「はいはい、いかがいたしましょう」

( A ) 「……”Z”」

(`・ω・´)「え?」


 (゚A゚) クワッ


( ゚A゚) 「……”ミナギルンZ” お願いします」

 (` ω ´) !?

557 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:28:09.56 ID:JvC2McmT0
 
(`・ω・´;)「み、ミナギルン……!!
       か、かしこまりました」

从;゚∀从 (なんだ? ミナギ……何?)

阿部 「……ほう、わかってるじゃないか君。 アレはなかなか効くぜ……!」

(`・ω・´)「あ、栄養ドリンクはフリードリンクじゃないけど大丈夫?」

( A ) 「……構いません。 ただし」

( A )Ψ 「三本」

Σ(`・ω・´;)「え!?」

( A ) 「三本です。 三本……いや」


  ( ゚A゚) 「 五 本 お ね が い し ま す !!」


Σ(`・ω・´;)「ご、五本!? 五本だとッ!?」

563 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:30:44.33 ID:JvC2McmT0
 
( ゚A゚) 「……ダメですか?」

(`・ω・´;)「い、いえ……そんなことは……」

( ゚A゚) 「では、持って来てくれマセンカ? ……すぐに」

(` ω ´;)「……わ」

(` ω ´;)「わ……わ、わかりました、こっちにもプロのプライドがあります」


 (`゚ω゚´ ) クワッ


(`゚ω゚´#)「” ミナギルンZ ” 五本ご注文です!! ありがとうございます!!」

Σ(;○_○) 「ご、五本?!」

(`゚ω゚´)「ご注文です!! 早くもってきて!!」

(;○_○) 「は、はい!!」 タッタッタッ

566 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/10/23(木) 02:32:34.55 ID:JvC2McmT0
 
从 ゚∀从 「……気合い入ってんじゃねーか、おもしれえ」

( A ) 「……」



 (#゚A゚) 「……」ゴゴゴゴゴゴゴ


 
 泣いても笑っても、残りはラスト一局──。

 ようやく訪れたオーラス、
 果たしてドクオは一発逆転に向け、望みを繋ぐことができるのか?




                   − 明日へ続く −


〜15〜へ


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